令和6年1月 入社式

令和6111

 毎月、恒例となった入社式。琴葉で、先月中頃から勤めている、看護師さんの自己紹介での事でした。
彼女は先月まで、琴葉のある施設付近の某病院で看護業務をされていたとの事です。
自己紹介の中で彼女はこの様な話をしてくれました。

「琴葉に入社して、驚いた事がありました。以前、勤めていた病院の患者さんが入居されていたのですが、状態が全く変わっていたからです。病院では経鼻からの経管栄養で、経口摂取できていませんでした。また、起立性低血圧の為、離床すらできない状態でした。その方が皆さんと同じように車椅子で離床され、食堂で箸を使い、自分で食事を摂られていたからです。私も皆さんと同じ様な志を持って勤めていきたいです。」

といった内容でした。
この話を聞き、喜ばしい気持ちと共に、懐かしい記憶が蘇ってきました。

 20年ほど前、私は従来型の特別養護老人ホームに勤めていました。
当時、一人の御利用者と簡単な約束をしました。(その時の私は、簡単だと思っていました)
施設の前にある、喫茶店に週一回、好きな物を食べに行くといった内容でした。
直属の上司に許可をもらい、いよいよとなった際、看護チームから「風邪でも引いたらどうする?外で誤嚥や窒息でもしたらどうするのか!あなたが責任をとれるの?」と激しく反対されてしまいました。結果、その約束を破る事になり、外出計画が中止となった事を御利用者に謝罪する事になりました。
元来、激しい気性でもあった、その御利用者は、物凄い勢いで激高され、

「なんだ、その訳分からん理由は!」
「お前らはそんな風に生活しとるのか!」
「俺は死んでも良いから好きな物を食いたいんだ!」
「もう、お前の言う事は信用せん!」

と激しく怒り、そして、涙を流し私に訴えられました。
幾度の交渉も虚しく、看護チームを説得する事が出来なかった私は、今まで積み上げてきた御利用者との関係が崩れていくと共に、自分の勤めている施設への落胆、自分の仕事に対する誇りの喪失を激しく感じまてしまいました。

 この度の入社式では、参加された多くの新入社員の方が「琴葉は、今までの施設に比べ、御利用者にしっかりと向き合っている。良い施設だと思う。」と言ってくれました。
期待と希望を持って琴葉を選び、真っ直ぐに向き合い、仲間になろうと思ってくれている証だと思います。
この様な貴重な仲間を、20年前の私と同じような落胆や喪失感を与え、失っては絶対にいけないと痛感した、とても印象的な入社式となりました。